2017年10月30日月曜日

2017年10月29日日曜日

[映画]
北野武監督「アウトレイジ 最終章」
小さなトラブルが転がってやがて組織同士を巻き込み、収集のつかないカオス状態の中で暴力が激発してゆく。しかし画面と編集はあくまで静的、かつ冷徹に撮られ進んでゆく。この対比はこの監督に特有のリズムと、題材の泥臭さに比べると一つの世界観ともなっている静謐さを湛えている。冷徹なカメラワークは、虫けらのように死んでゆくチンピラたちをも重要人物たちと同等にとらえ、それらの生を青い色彩の中で一つ一つ、事実として示すのである。
だが、今回の「最終章」は、主人公・大友が自ら「ケジメ」を付けるという展開によって、映画の方向性がリリシズムに偏ってしまった。前作の「全員悪人」というような突っぱなしが今作に見られなかった点には、物足りなさを覚えざるを得ない。北野映画の持つ叙情性は硬質で無情な物語展開に支えられており、それを失ってしまうと題材のセンセーショナリズムや登場人物の「顔」の濃さに吸収されてしまう危険性がある。このキャストでこの題材を撮れるのは北野しかいないという意味でも稀有な監督だが、今回は物語をまとめようとした結果、叙情が軟質化してしまっている感が残念であった。

2017年10月25日水曜日

[購入]
柄谷行人『坂口安吾論』
http://www.inscript.co.jp/b1/978-4-900997-67-7
柄谷行人『「世界史の構造」を読む』
http://www.inscript.co.jp/b2/9784900997332
小林敏明『柄谷行人論 〈他者〉のゆくえ』
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016171/

2017年10月24日火曜日

[MMA]
ゲガール・ムサシvs.アレクサンダー・シュレメンコ(Bellator185)
ムサシの移籍一戦目ということだが、シュレメンコの相手左足を抱えてのロシアンフックが第一ラウンドに炸裂し、ムサシの右目が塞がり腫れる。ムサシはその後距離を潰して独特のテイクダウンからシュレメンコをコントロール、片目が見えず距離を測れない不利をグラウンドコントロールでカバーする。RNCはフェイスロック気味となり決まらず。第二ラウンドのムサシは右手を常に上げて相手の左を被弾しないように構える。シュレメンコのブラインドサイドからの打撃を、レスリングというよりは柔術的なテイクダウンへの動きで防ぐ。第三ラウンドはシュレメンコ優勢、回転系のパンチ・キックの切れと体の力の強さを感じる瞬発力で攻める。猪木アリ状態でのパウンドは効果的に見えた。
判定への批判もあるようだが、全体として一・二ラウンドのムサシによるシュレメンコのボディコントロールを見るなら、それほど妥当でない判定だとは思わない。ムサシのテイクダウン能力&怪我してからの試合運びの上手さと、シュレメンコというヒーロー要素のない選手が持つ地力の強さを見せつけた試合だったということだろう。

2017年10月16日月曜日

[メモ]
昭和44年3月6日 泰淳さん“選奨”辞退の弁(昭和毎日)
http://showa.mainichi.jp/comeback/2009/03/post-9ade.html
 辞退の理由について武田氏は「お受けしたくないからお受けしない」と語るばかり。「ぼくはずっと賞とは無縁できたんだ。これからも無縁でいたいんだよ」とこぼし、「ぼくはもらわなくてもいいんだよ。ほかの人がたくさんもらってくれれば、それでいいんだよ」と笑ったという。その後、73年に「快楽」で初めての賞となる日本文学大賞を、76年には「目まいのする散歩」で野間文芸賞を受賞し、同年10月に死去した。
[購入]
ジャック・モノー『偶然と必然』(渡辺格、村上光彦訳)
https://www.msz.co.jp/book/detail/00428.html
佐藤直輝『40年後の「偶然と必然」 モノーが描いた生命・進化・人類の未来』
http://www.utp.or.jp/book/b306441.html
伊藤邦武『偶然の宇宙』
https://www.iwanami.co.jp/book/b259991.html
イアン・ハッキング『偶然を飼いならす 統計学と第二次科学革命』(石原英樹、重田園江訳)
http://www.bokutakusha.com/books/2001/4.html
E・H・カー『ロシア革命 レーニンからスターリンへ 1917-1929年』(塩川伸明訳)
https://www.iwanami.co.jp/book/b255642.html
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奥山文幸編『蓮田善明論 戦時下の国文学者と〈知〉の行方』
http://kanrin.co.jp/book/02_201709_hasuda.php
堀内哲編『生前退位ー天皇制廃止ー共和制日本へ』
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784807417179 
[動画]
平成29年住吉大社横綱土俵入り
横綱起源「はじかみ」説

2017年10月15日日曜日

[メモ]
ロマノ・ヴルピッタ『ムッソリーニ イタリア人の物語』より
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480098078/
実は、十九世紀後半のイタリアの社会主義運動は思想面で曖昧であった。イタリア極左の始まりは、リソルジメント(統一のための闘争)の指導者の一人で、統一と共に社会の再生を主張したジュゼッペ・マッツィーニの共和制思想に求められるが、彼は階級闘争の原則を受け入れなかった。イタリアで社会主義運動の基礎を築いたのはロシアの無政府主義者バクーニンである。彼は、極貧で重税にあえぐイタリア農民の状況が革命につながる可能性を見抜いていた。実際のところ、農業地帯、特に状況がより悲惨な南部の地方では暴動が起こることもよくあった。バクーニンはまず、イタリア国境近くのスイスに移り、少数であっても、すでに多くの地方で活躍していたアナーキストを中心に革命的左翼運動を編成しようとした。
 一八七四年八月、バクーニンは機が熟したと考え、ボローニャに移り、彼の指導を受けたロマーニャのアナーキストたちは武装蜂起を試みたが、それは悲惨な結果に終わり、バクーニンはスイスへ逃亡し、革命家を志す者の大部分が検挙された。その中に、当時二十代だったアレッサンドロ[・ムッソリーニ]もいた。……
 一八八二年、友人のアンドレア・コスタがミラノで労働者社会党を設立したときには、アレッサンドロは初期加入者の一人となり、彼の工房は社会主義の宣伝の中心地となった。組織者としての才能があったアレッサンドロは地域に党を根付かせることに成功し、無政府主義に共感を抱き続けながらも、社会党の民主路線を現実的に受け入れたのであった。一八八二年の選挙でコスタはイタリアで最初の社会党の代議士となったが、その当選にはアレッサンドロも寄与している。この選挙で社会党の候補が当選したのは、投票権が読み書きのできる二十一歳以上の納税者に拡大されたからである。その結果、有権者は総人口の二パーセントから一挙に九パーセントまで増えたのであった。

2017年10月14日土曜日

[読了]
嘉戸一将『再発見 日本の哲学 北一輝―国家と進化』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062923996
進化論との関係から北一輝の思想を読む試み。実際『国体論及び純正社会主義』をひも解いても、「進化」に社会主義の必要性を担保している部分は随所に見られるし、既に様々に論じられている。しかしこれを「神類」という概念へと繋げて考え、血筋ではない「神」に皆が成れる可能性があるはずの中国での革命へ北が惹かれてゆく、という展開は興味深い。そのため北の国家論は、上杉慎吉らの国体論とも完全に背馳していた訳だ。法秩序の準拠の問題の論議、あるいはボダン、ヘーゲル、ニーチェ、プラトン、それから田辺元と三木清、三島由紀夫らと比較思想的に対照してゆく論じ方も分かりやすい。結び方は必ずしも同意できないが、読んでおくべき本であろう。

2017年10月11日水曜日

[キック]
KNOCK OUT vol.5 森井洋介vs.町田光
町田光はディフェンスの堅さに加え頻度の高いジャブ、冴えた左ミドルを出しながら前進してゆく。森井の左右へのパワフルな動き、刈るような力で繰り出されるフック、ボディーや堂々とした構えも素晴らしい。だが、途中で明らかに町田のミドルが効いているのが見て取れる。
決して下がらない町田の圧力には、あたかも地蔵がにじり寄ってくるような迫力が…。そこに縦ヒジ一閃、隙間に叩き込んだ森井が勝負で勝ち切ったということだろう。触れれば斬れるような気迫の両者が凌ぎを削った、見応えのある名試合だ。

[メモ]
マタイ伝第六章。
そらとりよ、かず、らず、くらをさめず。しかるになんぢらのてんちゝは、これをやしなひたまふ。なんぢらはこれよりもはるかすぐるるものならずや。なんぢらのうちたれかおもわづらひてたけ一尺いつしやくくはんや。またなにゆゑころものことをおもわづらふや。百合ゆり如何いかにしてそだつかをおもへ、らうせず、つむがざるなり。れどわれなんぢらにぐ、榮華えいぐわきはめたるソロモンだに、その服裝よそほひこのはなひとつにもかざりき。今日けふありて明日あすれらるるくさをも、かみはかくよそほたまへば、ましてなんぢらをや、ああ信仰しんかううすきものよ。さらばなにくらひ、なにみ、なにんとておもわづらふな。これみな異邦人いはうじんせつもとむるところなり。なんぢらのてんちゝすべてこれらのものなんぢらに必要ひつえうなるをたまふなり。まづかみくにかみとをもとめよ、らばすべてこれらのものなんぢらにくはへらるべし。このゆゑ明日あすのことをおもわづらふな、明日あす明日あすみづからおもわづらはん。一日いちにち苦勞くらう一日いちにちにてれり。

2017年10月9日月曜日

[メモ]
蓮實重康博士旧蔵美術史資料
http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DBijutus/Hasumi/recordlist.php?-skip=0&-max=100
[MMA]
UFC216、ファーガソンvs.リー。
ファーガソンの攻撃パターンは二段階。リーチの長さとスピードを活かしたスナップや肘、あるいは柔軟なボディワークを最大限に用いた変則的なスタイルで相手を追い詰め弱らせた後、グラウンドに持ち込みダースチョーク。この展開が必勝パターン。
おそらく今回もリーが強力なレスラーであるということを念頭に、最初のラウンドで力を使わせた後で追い詰めてゆくという戦略を取ったと思われる。リーのフィジカルはファイト以前の予想よりもはるかに強力に見えた。しかしラバーガード等の10thプラネットで鍛えた動きで三角を極めきったのは、やはり引き出しの数と経験の差が出たと言える。

2017年10月8日日曜日

[購入]
チャイナ・ミエヴィル『オクトーバー』
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480858108/
『増補新版 北一輝思想集成』
http://www.shoshi-shinsui.com/book-kita-new.htm

中川文人・外山恒一『ポスト学生運動史 法大黒ヘル編1985-1994』http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-1487-8.html
本渡章『古地図で歩く大阪 ザ・ベスト10』
https://140b.jp/blog3/2017/06/p2203/

『でっか字マップ 大阪24区』
https://140b.jp/blog3/2017/06/p2203/