2017年10月14日土曜日

[読了]
嘉戸一将『再発見 日本の哲学 北一輝―国家と進化』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062923996
進化論との関係から北一輝の思想を読む試み。実際『国体論及び純正社会主義』をひも解いても、「進化」に社会主義の必要性を担保している部分は随所に見られるし、既に様々に論じられている。しかしこれを「神類」という概念へと繋げて考え、血筋ではない「神」に皆が成れる可能性があるはずの中国での革命へ北が惹かれてゆく、という展開は興味深い。そのため北の国家論は、上杉慎吉らの国体論とも完全に背馳していた訳だ。法秩序の準拠の問題の論議、あるいはボダン、ヘーゲル、ニーチェ、プラトン、それから田辺元と三木清、三島由紀夫らと比較思想的に対照してゆく論じ方も分かりやすい。結び方は必ずしも同意できないが、読んでおくべき本であろう。