2018年6月4日月曜日

UFCファイトナイト131:リベラvs.モラエス

グレゴール・ギレスピーvs.ヴィンス・ピシェル(UFCファイトナイト131
マルロン・モラエスvs.ジミー・リベラ(同上)
ニューヨーク州ユーティカで開催されたファイトナイトシリーズ。
コ・メインでは以前ちょっと触れたグレゴール・ギレスピーヴィンス・ピシェル相手の試合をつとめたが、レスラーによるコントロール&グラップリングのまさに手本のような試合だった。
1R冒頭から打撃を出した直後にシングルレッグのタックル、倒してケージ際でサイドを取りコントロール。細かな打撃を入れつつ、相手が動いたところでギロチンに移行しようとするが、相手が立つとまたシングルレッグで倒す。
さらにピシェルが立ってくると膝蹴りを入れてからまた倒し、ガードポジションからハーフへ移行、そしてマウントを奪う。さらに相手が立つと再びパンチ→膝蹴りと、とにかく動き続ける。ラウンド最後はタックルを切られるもそこから相手の上を取り、アナコンダチョークをトライするも時間切れ。
2Rは再びギレスピーがシングルレッグからケージ中央でテイクダウン。相手が立ち上がろうとするところをがぶりの姿勢で抑え続け、ケージ際でバックを取る。
後ろからのパウンドや尻への膝蹴りを入れつつ背中に乗っかると、ピシェルが立ち上がりかけるも、局面の打開を求めて前転したところでギレスピーがサイドを取り、ハーフへ移行。ピシェルが腕をとられるのを嫌がり後ろを見せかけたところを捉え、がっちりと肩固めで極めた。
ギレスピーはグレイシー・バッハでもトレーニングをしているようだが、とにかく休みなしに動き続け、打撃からタックル、そしてグラウンドになっても膠着せずに相手を常にコントロールしながらひたすら攻め続けている。いっときも休まず、打撃・テイクダウン・グラウンドが一体化して先手を打ち続けている点、非常に高度で強力なスタイルだ。
カジュアルファンにも分かりやすい形で、打撃のKOばかりが攻めであるわけではないことを感じさせてくれる選手である。次こそは有名選手と当たるだろうか。
マルロン・モラエスジミー・リベラは試合前にはかなり舌戦を繰り広げ、期待を盛り上げていた。両者とも有力選手として、今後を占う試合だ。
リベラは2009年以降負けなしで、最近ではユーリ・アルカンタラユライア・フェイバー、そしてトーマス・アルメイダと、相手がベテランであろうが若手有力選手であろうが、勝利を収め続けてきた。一方のモラエスはWSOFからの移籍後、UFC初戦ではハファエル・アスンサオに負けたものの、その後ジョン・ドッドソンに勝ち、アルジャメイン・スターリング戦の緊急出場でも派手なKO葬を見せつけたことで、今回はメインへ抜擢されたのだろう。
しかし試合は1R、33秒で決着がついた。冒頭の探り合いでモラエスがローを入れた後、両者ともにパンチの間合いを測っていたが、そこでモラエスの巻き込むようなハイが命中! リベラはうつぶせ気味に倒れ、かがみこんでいるところに後ろからモラエスがパウンド、レフェリーが試合を止めた。
リベラのガードが低かったようには見えなかったが、見直してみると、モラエスは互いにパンチを出していたその間合いから、そのままスッと後ろ足を寄せてハイを放っていた。リベラは手の間合いに気を取られて、虚を突かれた形になったのだろう。また、リベラの構えがそもそも低めであることもモラエスの計算にあったかもしれない。
いずれにせよ、一瞬間を逃さず的確に蹴りを叩き込んだ、モラエスの見事な勝利であった。

メインが短かったので別の話題にも触れるが、ONE Championshipがアベマと組んで日本選手を数多くスカウトしはじめている。日本国内でUFCを目指していた次世代選手も含め、有力選手が多く契約した模様だ。アジア圏のMMA普及に力を入れるONEだが、地殻変動が起こるのか。こちらの動向にも注目だろう。