これには最初疑問も出ていたが、デイナ・ホワイトは「オーフリームがCMパンクよりペイパービュー数が取れるのか?」との理由でその声を拒絶。しかし試合はジャクソンも極めきれず、パンクもKOされなかったことだけが褒められる内容に。デイナは後からジャクソンを貶して「プレリムにしておくべきだった」とか言っているが、やる前からそれ想像できただろ。
期待通りの打撃戦となったが、またフラッシュダウンを交えつつも、まだ切れも威力もある的確な打撃に交えてクリンチワーク等でも妙を見せるアルロフスキーに対し、顔面をズタズタに切られつつもツイバサが強力な突進とパンチ・肘でぶつかってゆく、見応えのある試合だった。
ロメロはオーバーウェイトの常習犯だが、今回は1回目の計量でわざとオーバーし、その後の再計量までの2時間をかけて規定体重に落とす計画だったと語っている。だが、イリノイ州のコミッションがなぜか1時間で計量を強いてきたため落とせなかった…という言い分を主張している。
ロメロ陣営はコミッションを訴えるつもりのようだが、まあこうなってくると陣営の判断が悪いということも考えられる。いずれにせよ、また残念な結果だ。
1R、ロメロはガードをしっかり固めてアップライト気味の構え、対してウィテカーは手を下げ気味で出入りの激しいスタイル。第一戦でロメロが放ってきたオブリーク・キックを、今回はウィテカーが時折交えてゆく。
時間の多くはウィテカーが打撃を打ち込んでいるが、ロメロはガードのままほとんど動かず、時折爆発したようにパンチか蹴りを出してゆく形。だがこのラウンドは、概ねウィテカーが距離も打撃のやりとりも支配していた。
おそらくロメロはスタミナに注意して、初回は目慣らしを兼ね、完全に様子見に徹したものと思われる。
しかしあまりこの構えは長続きせず、ウィテカーの打撃を受けて変えてゆく。このラウンド、ロメロは攻撃に転じて蹴りもパンチも出すが、中盤、ロメロの右目が腫れてきていた。ウィティカーも応戦するが、低い構えから伸びるパンチと蹴りを連打できる点が強みである。速くて強く、かつ腰が強くてテイクダウンディフェンスに隙がない。
ラウンド終盤にロメロはタックルに行くが、ウィティカーは第一戦でも見せたテイクダウンディフェンスの強力さで、倒させない。このラウンドはロメロも積極的に出ていた。
フック系と回し蹴りを出し合ってラウンドがはじまったが、ウィティカーが前蹴りを出した所にロメロがワンツーを入れ、ウィテカーがダウンを喫する。ウィテカーはすぐに立ったが、ロメロはがぶりの体勢に持ち込み肘を叩き込む。ウィテカー立ち上がり、ケージ際でクリンチ状態となるが、ロメロ打撃を止めず、フックを連打し肘を降り注ぐ。
クリンチ状態のままの差し合いからロメロがタックルに行くも、離れた後、ロメロ再び打撃で優勢に。ロメロは相手を追いかける際にほとんど走りながらフックの連打を放つが、合間にはウィティカーも蹴りを返している。
ロメロ、再びケージ際にウィテカーを詰め、バックを奪いそうになるが、ウィテカーが差し返して体を返し、ケージにロメロを釘付けにしたところでラウンド終了。
ウィテカーの打撃は剛柔流空手とハプキドーがバックグラウンドとのことだが、ジャブは鋭くて速く、フックは体幹から動かすパンチでないのに威力がありそうだ。またダン・ハーディが解説していたが、ウィテカーの蹴りはムエタイやキックボクシングのように腰を入れる動きではなく、膝を突き出したあとヌンチャクのように脛の部分を伸ばしてゆくタイプのものである。これに出入りの突進力と体の強さが加わって威力を増している印象だ。
終盤になるとロメロが出てきてパンチを当てたが、ウィテカーが優勢のラウンド。
だがそのまま膠着状態となり、レフェリーに分けられ再開。ウィテカーは前蹴りでロメロを抑える攻撃から、回し蹴りの打ち合い、そして最後にロメロが突進したところでホーンが鳴り、激闘は終了した。
1Rでウィテカーの拳が折れていたとのことだが、ウィテカーは打撃の回転力+パワー、フットワークの巧みさ、ロメロにもテイクダウンされないディフェンス力と体幹の強さが抜きん出ていた。かつては優れているにせよそこまで目立つ印象がなかったが、ブラッド・タヴァレス戦に勝利した後、階級をミドル級に上げてから格段に強くなった感がある(タヴァレスも今はミドル級)。適正階級が強さを呼び込んだとも言えるだろう。
だがロメロの方も仮にライトヘビーに上げたとしたら、どれくらい通用するだろうかというの期待が生まれるのが間違いない選手ではある。良くも悪くも、話題の尽きない存在だ。