第一試合で中村K太郎がトニー・マーティンと対戦したが、打撃はリーチを用いて制され、各ラウンド最後にはテイクダウンに行くも返され、敗北。
もの凄いダメージを受けたわけではないが、全体的に封じ込まれた形だ。グラウンドでの攻防でも勝てなかった所が痛い。前戦は勝利したのだが、なかなか連勝と行かないところが難しい。
これはこれで凄いのだが、ジム・ミラーに勝利したダン・フッカーの、打点が高くパンチ並の頻度で出る膝もまた印象的であった。ロス・ピアソン戦も膝で相手を大の字にしていたが、手足が長い上に力のありそうな膝蹴りは脅威である。身長差が活かせる際には特に、試合を決める一発となっている。
しかしこの試合がメインではなく、ケビン・リー対エジソン・バルボーザをメインに据えたところには、UFCが今後若手のスターを育ててゆかなければならないと考えている意識が見える。アメリカ国内の試合なので、メインの知名度はベテランに及ばずとも集客が見込めるということなのか。
両者は2014年10月にUFCファイトナイト57で対戦しているので二戦目。一戦目は、エドガーが5Rネッククランクで勝利している。
エドガーは常に角度を変えながら細かい打撃を刻んでゆき、スワンソンの遠心力を活かすフック中心の打撃の隙を突きながら、有効打をより多く入れていた。
またエドガーは、自分が追いかける際には常に頭を揺らして相手にとり攻めにくい角度を取るが、スワンソンがステップを使って攻め口を探そうとすると、それを潰すように動いて未然に相手の自由を奪う。エドガーの絶え間ない細かな動きと、それを全ラウンドにわたって実行できるタフさはやはり他の追随を許さないものだ。
スワンソンは今回はUFCとの再契約直後だったが、若干スローに見えたか。
常習犯化しているというか、階級的にかなり無理があるのではないか(上の動画はUFC216時のもの)。
バルボーザもガードポジションに戻して足を使うが、リーはマウントへ戻して強烈なパウンド、バックから再びハーフマウントを奪い、拳と肘で強力なパウンドを打ち込む。
リーのパウンドは一発一発が大きくて重いがスピードがあり、当たった際に「ドシッ」もしくは「グチャッ」という音が響いていた。非常に大きなダメージがあり、このパウンドのパワーとテクニックは驚異である。
1分経過頃に出た後ろ回しのハイがリーの側頭部に命中し、リーはまるで足の骨が全部無くなったようによろめく。バルボーザは抑えようとするが、リーが立ち上がってタックルに入り、またもテイクダウンされてしまう。回復を待っているリーから残り2分で離れ、残りはスタンドのまま打撃を交換しつつラウンド終了。
4Rは30秒でリーがテイクダウンした後は、再びポジションを取り続けながらのパウンドで終始する。
5Rは当初打撃戦になり、バルボーザのいいボディやミドルも入るが、すでに疲れ切っており、テイクダウンを切った後で右目の上からの大量出血を見たレフェリーが医者を呼び、そのままドクターストップ。リーのTKO勝利となった。
しかしリーも体重超過さえなければ素直に勝利を寿げるのだが、こういう形だとやはり釈然とはしない。しゃべりが出来、かつストリートの匂いがするファイターということでUFCも推しているようだし、グラインド&パウンドの強さが並外れているのは明らかなのだが。
ヌルマゴメドフ戦をアピールしているが、まずはウェイト問題を払拭しなければならないだろう。