2017年12月25日月曜日

UFC219・事前予想など

年末年始の格闘技興行レポートは、年末進行とPC環境的にたぶん投稿できない。RIZINは31日だけ見られる可能性があるが、それとUFC219についてのレポートはおそらく無理。そういう訳で、本投稿はUFC219の簡単な紹介のみである。
クリス・サイボーグvs.ホリー・ホルムは面白いマッチアップだ。トータルファイターとしてのサイボーグに対して、戦略&スピード型のホルムというスタイル戦と言える。ただホルムはロンダ・ラウジー戦後に三連敗しており、その相手はそれぞれミーシャ・テイトヴァレンチーナ・シェフチェンコジャーマイン・デ・ランダミーであった。この内テイトはボクシング+レスリングタイプだったが、後の二人はキックボクサーからMMAにアジャストしたタイプで、ホルムとしては不本意な結果だっただろう。その後、ベチ・コヘイア戦を得意のブラジリアンキック気味のハイによってKO勝利し、今回の試合にこぎつけた。
一方、体重調整に苦しんできたサイボーグは実のところ有名選手との戦績には乏しく、今回はUFCトップ戦線との一戦ということで、UFCでの真の試金石的なファイトとなるだろう。強いて言えば…サイドキックなどで距離をキープし、角度を支配しつつサイボーグの穴を突ければホルムだろうが、サイボーグのMMAファイターとしてのパワーとバランス、トータルの完成度は群を抜いているので、それを突破してサイボーグ有利となるような気はする。
スタイル・マッチアップで言えばこの大会のカビブ・ヌルマゴメドフvs.エジソン・バルボーザも当然のごとく超注目カードだが、ifの可能性が多いこういう試合について、あれこれ事前予想するのは楽しいものである。マイケル・ジョンソン戦を見る限りでもヌルマゴメドフのような気もするが、いくら確率計算しても計算しきれない結果が現れることこそ、格闘技の面白さの一つである。オッズもブックメーカーによって、それぞれ真逆の数値になっている。
ところで、上の動画は同じトレーニングの様子をサイボーグとホルムで対比させたものだが、オールアウト的な感じが多いサイボーグに対してテクニカルなホルムと、両者の違いを見るのも興味深い。

ウェブに動画がいろいろと上がるようになり、プロのトレーニングやスパーの様子が見られるのは、時には試合を見るのと同じくらいかそれ以上に面白いものだ。プロの拮抗したスパーは、生で見るとそれだけで金が取れるくらいの迫力があるが、動画で見てもその一端がうかがえる。
カーロス・コンディット戦を控えたニール・マグニーが、フランシス・ガヌーとのスパーの様子をインスタグラムにアップしていたが、見ていると試合とは違った楽しさが感じられる。
塩試合の代表みたいなライアン・ベイダーのレスリングスパーも、とんでもない迫力と技術である。
和気藹々…というのとは違うが、練習でのこういった様子を見て、時に試合映像だけでは知らなかった選手の関係をのぞくことができるのも楽しいものだ。殺伐とした雰囲気だけではなく、営みとしての格闘、互いを知ることとしての格闘に触れられる気がするからかもしれない。

そういえばホルムの父親(ロジャー・ホルム)は教誨師だが、正確には思い出せないものの、以前にどこかでこんなことを言っていた。「私は格闘技を人とは違った角度から見ている。格闘技は、人間の浮き沈みを圧縮して見せるものだ」と。
勝った選手だけではなく、負けた選手にも当然人生は続く。ショービズが見せるケージの上での勝敗は絶対的なものだが、その他の場面では勝敗そのものが絶対的ではない。人間の生き方に伴うこれら両面がともに圧縮して感じられることもまた、格闘技の愉しみなのではないだろうか。

※追記。UFC219の「Inside the Octagon」がアップされ、ダン・ハーディによるサイボーグ対ホルム、ヌルマゴメドフ対バルボーザの分析が出た。やはりサイボーグのフィジカルに対してホルムのカウンターやサイドキックによる距離・戦略、ヌルマゴメドフの特殊なパンチに対してバルボーザのコンビネーションやキックの技術などに焦点を当てている。
ハーディは選手としてかつて好きだったが、いまや熟練の解説者である。「ジ・アウトロー」だった現役の時には、こんなに分析的に語れる人物とは想像がつかなかったなあ。