2017年11月26日日曜日

UFCファイトナイト122:ビスピンvs.ガステラム

リー・ジンリャンvs.ザック・オットー(UFCファイトナイト122・上海
ケルヴィン・ガステラムvs.マイケル・ビスピン(同上)
UFC初の中国本土での開催。プレリムの試合では、19歳のソン・ヤドンがいかにもUFC好みの鮮やかなストライキングによる勝利を見せた以外、地元中国勢の選手は勢いよく特攻→相手のペースに削られて撃沈、という選手が多かった。ソンは散打からMMAに転向後、クンルン・ファイト等に出ていたようだが、散打というよりもボクシング的な打撃で、体幹が全くブレないままに鋭く高い攻撃力を持ったパンチを出していた。今後の注目株になるかもしれない。
しかしUFCルーキー勢と違い、ベテランのリー・ジンリャンは極めて落ち着いた試合運びで危なげなく勝利を手に入れた。リーは上とボディーにストレートを散らしつつ、飛び込もうとするザック・オットーをフックで牽制し続ける。オットーは前蹴りなどで距離を詰めようとするが、リー・ジンリャンは相手の蹴りを掴み、リーチの長さを活かした伸びるストレートを顎に叩き込む。倒れて回り続けるオットーにパウンドを連打し、1Rで試合を決めた。「ザ・リーチ」(蛭)という名に相応しい、喰らいつくような伸びる打撃で終始距離を支配し続けた試合運びであった。
アンデウソン・シウバのピンチヒッターとして、3週間というショートノーティスでオクタゴン入りをしたマイケル・ビスピンGSP戦の汚名をそそぎたいと言っていたが、計量ではかなり腹回りの肉が落ちており、正直あまり調子が良さそうには見えなかった。
ビスピンの打撃はコンビネーションの回転が得意で、一発の強さはそこまで感じさせないが、絶え間なくフットワークを使い、スタミナの強靭さで相手のディフェンスをこじ開けてゆくスタイルである。
ケルヴィン・ガステラムは、そこを十分に注意した戦略を取っていた。ガステラムはサウスポーの構えから左ミドルをムエタイ的に相手の腕でも構わず打ち込んでゆく。これはダメージを狙うというよりも、ビスピンのコンビネーションの連携を断ち切るために出されていた。また時々右手を前に出してぐるぐると回し、ビスピンのジャブもしくは左フックが攻撃の起点となるのを防いでゆく。左がつかえたビスピンが接近したところで右を出したが、そのパンチが伸び切ったタイミングを逃さず、ガステラムが放った素早いワンツーの左が顎を完璧にクリーンヒット。ビスピンはダウン、これで勝負が決まった。ガステラムがビスピンのスタイルをうまく封じ込め殺しきった1RKO勝利であった。